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2013年9月29日 (日)

ファッション・ヴィクティムにならないで!

フランスの幼稚園に制服はありません。


制服が無いので、指定の鞄や靴なども通常はありません。


なので、子供の身なりはすべて親任せ。


親が選んだものは着ない、なんていう反抗期やら思春期は小学校高学年くらいに始まることなので、我が家にはまだまだ先の話。



・・・・だと思い込んでいた私が馬鹿でした。


ある日の朝、息子が泣きそうな顔で訴えてきました。


「・・・Je veux pas ce sac(このカバン嫌)」


「なんで?」と聞いても、このフレーズを口にし続けるだけで、理由を言わない(言えない)息子。


どんな鞄かというと、単なるベージュの手提げかばん。旦那さんがオーストリアの中高一貫校でもらった、ごくごくシンプルな手提げかばん。これ以上平凡で地味な鞄はありません。


でも、わかってしまいました。


息子がその手提げかばんを嫌がる理由、それは、「みんなと違うから。」


入園にあたって、鞄に関しては何の決まりごともないはずなのに、息子以外全員が、キャラクターがプリントされたり刺繍がしてある、カラフルな子供用のリュックを持っていたのです。


息子の送り迎えは、車か自転車。息子が鞄を手にするのは幼稚園に着いてからであり、リュックを背負う機会がなく、手提げ鞄のほうが便利だったりします。息子のかばんが他の園児と違うことは初日から気づいていましたが、保母さんが区別しやすいという利点もあるし、問題ないものと見なしていました。


服を着る行為を嫌がることはあっても、服の種類を嫌がることはない息子。鞄も、持たせたものは素直に持ち続けるものだと思っていました。幼稚園に通わず、集団行動と無縁の生活をしていれば、嫌がることはなかったはず。


「オリジナリティは大事」とか「人と違うからこそ美しい」とか「地味なのに目立つなんて奇跡」などと言ったところで3歳児には意味不明。何をどう説得したらいいんだろう?と考えているうちに、息子の方はどんどん確信に向かっていきます。


平和に登園していたはずの息子が、園の門の前で「このかばんいや~!!!」と泣き出すようになってしまったのです。


こうなったら園長先生や保母さんに息子の手提げ鞄を褒めてもらおう、と思いつきましたが、そんな時に限って、皆忙しそうで相手にしてもらえず。


そして決断しました。息子が鞄のせいで再び泣き出すようになって3日目、「新しいかばん買うから、あと2,3日はこのかばんで我慢して。」と息子に耳打ち。


息子の駄々に根負けして子供用のリュックを探すことにしたわけですが、一つだけ譲れない点がありました。それは、キャラクターものだけは勘弁、ということ。デザインがまともなら構いません。でも大型スーパーで見かける子供用のリュックは、ダサい。そして田舎くさい。息子がどんなにほしがろうと、これだけは絶対に買い与えないと、決めていました。


というわけで、残った購入場所は近所の子供服店。


その日は金曜日。家から一番近い子供服の店に急行して、「3歳児が使えるリュックはありますか?」と聞くと、「名前の刺繍をオーダーするリュックならありますよ。でも今日注文しても届くのは火曜日です。」と言う店員さん。「名前は要らないんで、もっと早く手に入りませんか?」と焦る私に「店にあるかばんは全部見本で名前入りしかありません。」とあしらう店員。相変わらず融通利かない!と思いながら「じゃぁ考えます。」と店を後にしました。


その店以外にも子供服関連のお店はありましたが、骨折り損な気がして帰宅。帰宅途中「ネットで注文したほうが速いんじゃないか?」ということを思いついて、検索開始。


「sac à doc enfant(リュックサック 子供)」で検索すると、偶然、「sac à dos coton bio(リュックサック オーガニックコットン)」という文字が目に飛び込んできました。迷わずクリックすると・・・


Capture



あるわあるわ。エコなメッセージ入りの、2~6歳用のリュック(↑写真はその一部)。「coq en pâte」というエコブランドのリュック。これ以上理想的なリュックは他にありません。お昼に帰宅した息子に、クジラの絵がプリントされたリュックの写真を見せると、「Oui !!! Je veux ça !!!(これ欲しい!!!)」と、予想以上に乗り気な息子。旦那さんにも一応電話で了解を得て、さっそく注文。


“土曜日に手配して、月曜日にお届け”というのを密かに期待しましたが、やはりここはフランス。土日はしっかりお休みでした(笑)長~い週末が過ぎ、注文してから4日後に追跡番号のお知らせが届いて、5日目の朝に小包到着。


息子の小さな背中にぴったりの、シンプルなリュック。真っ青な色は、他の園児の鞄にしっかり溶け込むに違いありません。「あぁ、もう明日から鞄のせいで泣くことはないんだ」と思うと、肩の荷が下りました。



・・・・ところが!


その翌日にも試練が待っていました。



新しい鞄を持って喜んで登園し、帰宅した息子が言いました。「Je veux pas ce sac(このかばん嫌)・・・」


??


聞き間違いかと思い、「え?どの鞄?」と聞き直す私に、「JE VEUX PAS CE SAC !!」と一単語ずつしっかり発音しながら新しい鞄を指差す息子。


今回ばかりは、理由なんてどうでもいい。「せっかく新しく買ったのに、なんでそんなこと言うの?昨日は喜んでたくせに。誰かに何か言われたの?そうだとしても、その人達は正しいとは限らないからね。自分がいいと思えばそれでいいの。」と、できるだけわかりやすく、言い聞かせました。


「誰かに何か言われた」のあたりで、ハッっと驚いた様子だったので、本当に他の園児が何か言ったのかもしれません。でも例えそうだとしても、息子が周りに振り回されるのも、私が息子に振り回されるのももううんざり。


結局、新しい鞄を園長先生に褒めてもらう作戦で、事なきを得ましたが、手提げ鞄を褒めてもらっていたら、泣き止んで持ち続けたのかどうなのか・・・。



本当に鞄が嫌だったのか、幼稚園に行かないための口実だったのかさえハッキリしない今回の“騒動”。一つ言えるのは、これからも身なりに指定の無い学校生活は続いていくわけで、幼稚園の年少組から気にしていては、息子も私も神経が持たないということ。


近所の子供たちを見ていても、流行りに流されている子とそうでない子がいて、考えさせられます。


周りに左右されずに我が道を行ってほしいのは山々ですが、子供のうちは難しい、そんな気がしてきました。


そして、この煩わしさを無くす唯一の方法が制服なんだ、と今頃になって気づいた日本人の私です。







Dscn5743_3


新しいリュック。「Cétacé」は鯨目と言う意味の「Cétacés」と「C'est assez(もう、うんざり)」をかけたダジャレ。Dégaze ailleurs=石油汚染は他でやれ(意訳)。幼稚園卒業までに、これらの意味を理解させるのが目標(爆)



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コメント

たしかに…苦笑。
皆が同じ制服を着るということは、なかなか大きな意味を持ってるなぁ。
と実感。
誰がどこから見ても小学生だと分かる一目瞭然の、日本のランドセルと黄色い安全帽
是非フランスに… ないですね 笑笑。

ps: また機会がありましたら小さな画伯の絵を見せて下さいネ(o^-^o)

haruさん、コメントありがとうございます!

気になって調べてみたら、日本の公立の小学校のランドセルは指定ではないようです。
つまり、ランドセルも「みんなと同じものを」という流れから根付いたということになります。

フランスのキャラクターもののリュックも根付いているようなもんですが(田舎だけ?)、ランドセルのような品格がないのが問題です。

もう少しまともなものが流行らないものかと、近所の子供を見ていて思う今日この頃。息子が小学生になったら、ランドセルを持たせようかと既に考えたことはありますが、「このカバンいや~」が再来することは目に見えているので、諦めました。(涙)

息子の絵を楽しみにしてもらえるなんて、有難いことです。幼稚園に行きたくなさそうな朝に「haruさんが○○の絵を楽しみにしてるのに~」と言ってみます(笑)


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